1.権利関係(民法)⑬時効

例えば、あなたが自分のものではない土地に家を建てて、長年にわたり所有者と同様の意志を持ってその土地を占有してきたとしましょう。そして一定の要件を備えればその土地の所有権を取得できるとされています。これを「取得時効」といいます。

それから、あなたが友人に金銭を貸していて、長年にわたり友人に返済の要求をしなかった場合、その債権はなくなってしましまいます。これを「消滅時効」といいます。「権利の上に眠る者は保護しない」というのが法律の考え方なのです。

時効の種類と要件

時効の種類と要件

時効の効果

時効の遡及効

時効の効果は、起算日にさかのぼって効果が生じます(時効の遡及効)。要するに時効が完成したら、その間の権利は最初にさかのぼって自分の所有であったようになるということです。

例えば、起算日から時効完成の間に対象となる不動産に第三者から侵害を与えられた場合、元の所有者ではなく時効によって取得した者に損害賠償権を与えられるというもの。

時効の遡及効

時効の起算日

では、時効の起算日っていつから?って思いますよね。取得時効と消滅時効では異なります。

取得時効の起算日

対象となる土地などの占有をはじめたときです。(物の占有または権利の準占有を始めた時)

消滅時効の起算日

「権利を行使することができる時」とされています。ただし債権の期限によってかわります(下表参照)

確定期限付き債権「〇月〇日に支払う」という場合は〇月〇日が起算日
不確定期限付き債権「不動産を売却出来たら支払う」という場合は不動産の売却日が起算日
期限の定めのない債権期限がない場合は、債権が成立したときになります。
消滅時効の起算日

時効の中断

例えば、Aが「〇月〇日に支払う」という債権(債権者Bとします)にて弁済の期限が過ぎて時効が起算されてから、Bが何の行動も起こさなければ時効となる期間はどんどん進行します。

しかし債権者Bが裁判上での支払い督促などを行えば、この時効の進行は中断となりここまで経過した期間はなかったこととになります。これが時効の中断です。

時効の中断事由

請求

  1. 裁判上の請求
  2. 支払い督促
  3. 和解及び調停の申立て
  4. 破産手続きの参加等

裁判外の請求

  1. 催告(ただし、口頭や郵便で履行の請求をしても時効の中断の効力は弱い)
  2. 差し押さえ・仮差押え・仮処分
  3. 承認(先の例で言うと、債務者Bが債権者Aに対してその債権の存在を認める行為。例えば一部を弁済する、利息を支払う、「もう少し待ってくれ」と懇願するのも承認行為)

まとめ

私が学習する際に作ったレジュメを貼っておきます。参考にしてください。

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